ブレーキの操作方法(ロードバイク STIレバー編)

2025年5月14日by 西村大助

ロードバイクに乗り始めた方が最初に戸惑いやすいのが、STIレバーによるブレーキ操作です。クロスバイクやマウンテンバイクとは異なり、前傾姿勢やドロップハンドル特有の持ち方、そしてブレーキとシフト操作が一体化しているため、独特の慣れが必要となります。

しかし、適切な操作方法を身につければ、より安全に、快適に走行できるようになります。

ここでは、初心者の方にもわかりやすく、STIレバーによる基本的なブレーキ操作方法を解説します。

1. ロードバイクのブレーキングの特徴

ロードバイクでは、前傾姿勢でドロップハンドルを握るため、クロスバイクやマウンテンバイクに比べてブレーキレバーへの手の届き方が異なります。

また、ロードバイクはスピード域が高いため、より繊細なブレーキ操作が求められます。適切な持ち方と力加減を理解することが、安全な走行に直結します。

2. STIレバーとは

STIレバー(Shimano Total Integration)とは、ロードバイク専用に設計されたシフト操作とブレーキ操作を兼ねたレバーです。

基本的な操作は以下の通りです:

  • レバー全体を内側に押し込む:シフトチェンジ
  • 小さいレバーを内側に押す:シフトチェンジ
  • レバーを手前に引く:ブレーキ操作

最初はこれらの操作を混同しないように意識することが大切です。

3. ブレーキのかけ方基本(支点・力のかけ方・指の位置・リーチ調整)🖐️

ロードバイクのSTIレバーでブレーキをかけている様子
ロードバイクのSTIレバーを使ったブレーキングは、急激に力を入れすぎず徐々にかけるのがポイント。小指と薬指でブラケットを握り、人差し指と中指でブレーキレバーを操作するのを基本と捉えよう。

支点を意識してレバーを引く

レバーの上部(支点側)に指をかけて引くことで、てこの原理が働き、軽い力でもしっかりと制動力が得られます。握力に頼って強引に引く必要はありません。「レバーを“引き込む”」イメージを持つとよいでしょう。

指の位置

レバーの中〜上部に指をかけると、自然に力が伝わりやすくなります。レバーの下部に指をかけると、指が伸びきった不自然な形になりやすく、力が入りにくくなって操作が重く感じられることがあります。

指は1〜2本が基本

人差し指または人差し指+中指でレバーを操作し、残りの指でブラケットをしっかり握ることで、安定したブレーキ操作が可能になります。

リーチアジャストを活用する

手が小さい方やレバーが遠く感じる場合は、リーチアジャスト機能を使ってレバーを近づけ、無理なく操作できるように調整しましょう。

取扱説明書の確認も忘れずに

モデルや年式によって細かな仕様が異なるため、ご自身の自転車に搭載されているパーツの取扱説明書も必ず確認してください。

4. 平坦路・下り坂でのブレーキ使い分け 🛤️

両手でSTIレバーを握りしっかりブレーキをかけている様子
下りや急ブレーキの場合は、下ハンドルがよい。上体をかがめ腰を少しひき、両手でSTIレバーをしっかり握ってブレーキをかけると、より安定した制動が可能に。下り坂や緊急時は、前後ブレーキのバランスを意識して使いましょう。

平坦路でのブレーキング

通常の巡航中や市街地走行では、ブラケットポジション(STIレバーの上部を握るスタイル)で走ることが多くなります。この姿勢では、必要に応じて軽くブレーキをかけてスピードを調整することが基本です。

フロントブレーキの方が制動力が高いため、うまく使いこなすことで効率的に減速できます。ただし、急激に前だけを強く握ると転倒のリスクがあるため、リアブレーキとバランスよく使うことが大切です

下り坂でのブレーキング

下り坂では下ハン(ハンドル下部)を持つことが基本です。強く確実にレバーを握ることができ、上体を低く保てることでバイクの安定性も向上します。

重心移動の意識

ブレーキング時は体をやや後ろに引き、重心を後方へ移すことで、前輪への過度な荷重を避け、前転リスクを抑えることができます。特に下り坂や急ブレーキ時は、体重移動を意識して安全な制動を心がけましょう。

5. 雨天・滑りやすい路面での注意点 ☔️

濡れた路面では、タイヤと地面とのグリップ力が大きく低下し、制動距離が晴天時の2倍以上になることもあります。雨の日でも安全に走るためには、いつも以上に慎重なブレーキングとライン取りが求められます。

早めに減速を始める

雨天時はブレーキの効き始めが遅れることが多いため、通常よりも早めにスピードを落とす準備をしましょう。特に下り坂や交差点に差し掛かる前は、予測して「じわっと」減速を始める意識が大切です。

滑りやすい箇所を避ける

以下のような素材や状況は、非常に滑りやすく、ブレーキング中に乗るとスリップや転倒の原因になります。

  • マンホール
  • 横断歩道の白線
  • 鉄板やグレーチング
  • 濡れた落ち葉や苔の路面

これらの上では強いブレーキを避け、可能な限り通過しないようにライン取りを意識しましょう。

6. 初心者に多いミスとその対策 ❗

①全部の指でレバーを握る

→ グリップが不安定になり、手が外れやすくなります。

対策: 1〜2本指でレバーを操作し、他の指でブラケットをしっかり保持しましょう。

②ブラケット持ちのまま下り坂へ突入

→ コントロールできる速度域をあっという間に超えるため、ブラケット持ちのままだと制動力が不足し、危険です。

対策: 必ず下ハンを持って重心を低くして下りましょう。

③レバーが遠すぎる

→ 指が届かず、操作が遅れる原因になります。

対策: リーチアジャストで適切な位置に調整しましょう。

④レバー下部に指をかける

→ 効率的に力が伝わらず、操作が重たく感じます。

対策: レバーの中〜上部に指をかけるよう意識することで、手の動きにフィットし、軽い力でブレーキングができます。

7. ロングダウンヒル対策(握力温存テクニック)🏔️

握力の消耗を防ぐ

長い下り坂では握力が消耗し、危険な状況になりやすいため、意識して温存する必要があります。

テクニック

  • ブレーキは小刻みに使う。長く握り続けず、短く断続的にかけることで疲労を減らします。
  • 直線でブレーキをリリースして握力を回復。
  • コーナー前に減速、コーナー中はブレーキしない(カーブ中にブレーキをかけると滑りやすく危険です)。減速はコーナーに入る前に済ませましょう。
  • 途中で安全な場所を見つけて休憩する

フォームも重要

肘を軽く曲げることで、衝撃を腕全体で吸収し、手だけに負担をかけないようにします。リラックスした姿勢を保つことで疲労を抑え、握力低下を防ぎます。

8. まとめ

ロードバイクのブレーキングは、単なる「止まる操作」ではなく、バイクコントロールの核となる重要なスキルです。とくに、油圧ディスクブレーキは軽い力でしっかり止まれる反面、指の動かし方や姿勢、周りの状況をきちんと見て操作することがポイントです。

押さえておきたいポイント

  • STIレバーは支点を意識して軽く引く
  • 上ハンでは指はレバーの上半分にかける
  • 下り坂では必ず下ハンを持ちレバーに人差し指を掛けておく
  • 雨天時は早めに減速し、滑りやすい場所に注意する
  • レバーのリーチ調整を行い、自分の手に合わせる
  • ロングダウンヒルでは握力温存を意識する

基本をしっかり押さえ、安全かつ快適なロードバイクライフを楽しんでください。


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